2012-13冬の18きっぷの旅 〜その2〜

“冬の18”旅のその2です。

気仙沼線のBRTに乗る

12月27日(木曜日)

猊鼻渓にて一泊した後、7時51分の大船渡線気仙沼行きに乗車。
およそ50分ほど揺られて、気仙沼駅に到着。

「3・11」から尚も復興途上にある、この地域。
大船渡線気仙沼から先、盛までの区間が不通、気仙沼線もここから柳津までの区間がBRT(Bus Rapid Transit)システムによる仮復旧で、これだけでも震災の爪痕がありありと伺えます。

さて、気仙沼からは柳津行きのBRTに乗車いたします。
去る12月22日、BRTとしての本格運行を開始したばかりでした。
システムこそ「バス」ではありますが、JRの路線になりますので「青春18きっぷ」でも乗車できます。
列車が不通になった場合の代行バスに、18きっぷで乗車できるケースとほぼ同じと言えます。
(通常は「JRバス」であっても、18きっぷでバスには乗れません)
 Wikipediaによるバス・ラピッド・トランジットについての説明

 

乗った車両は日野自動車製のブルーリボンハイブリッド(ノンステップ)。

「バス停」の体でありますが、BRT路線での場合、これは「駅名票」として取り扱うべきなのでしょうか?

8時51分、定刻通りに気仙沼を発車。
最新型のバスだからか、車内前方には液晶画面があって、そこではニュースを流しておりました。
なおこのバスには、車内の様子を記録するカメラも備え付けられているらしいです。
ですので、不用意に車内をウロチョロしたりすると運転手さんから注意を受ける事があります。気を付けましょう。

途中の専用道区間までは一般国道を走行します。
その時に車窓から一枚。

震災の瓦礫は思ったほど多くはありませんでした。
だいぶ処理が進んできているのでしょうか。
しかしこうした風景を見るにつけ・・・・・・正直言葉なんてものは出ないです。
復興のために、我々に一体何が出来るのだろう?
眼下に拡がる広大な大地が、そう問いかけている様に感じました。

Rize, Again.

バスはやがて南三陸町に到着。
そこは気仙沼周辺で見た光景以上に、衝撃的な光景が広がっておりました。
TV画面で見た事のある、骨組みだけが残った「災害対策庁舎」。
本当に何もかもが流されてしまった、志津川の街。
やっぱり言葉は出ません。

たまたま自宅のPCの中に、災害に遭う前の志津川駅の画像があったので載せておきますが、(当然ながら)この駅舎も被害を受けてます。
ただ、街中にいくつかの標語みたいなものがあったのですが、

『ご先祖様も、何も無い状態から始めた』

といった趣旨の標語が、強く印象に残っています。

敗れても、打ちのめされても、ヒトは何度でも立ち上がれる。
南三陸町の方々は逞しい。本当にただ敬服するばかりです。
BRT運行開始と同時に志津川のBRT駅舎は南三陸さんさん商店街横に移転していますが、次に訪れる時には途中下車して、商店街巡りもしてみようかと考えております。


BRTは定刻通りに柳津へ到着。
バスですので多少は遅れとか発生するのだろうか・・・・・・と思ったのですが、心配は杞憂に終わりました。

駅舎内には運行情報を表示する液晶表示がありました。

柳津駅と、運行を終えて待機するBRT。
ここからは列車に乗り換えて前谷地へ。

柳津駅ホームから気仙沼方を撮影。

気仙沼線の将来は・・・・・・

こうして気仙沼線BRTを乗り通してみたのですが、その上での感想をいくつか。

列車時代に比べると本数は大幅に増えているのですが、この設定を見るに、もしかするとこれは鉄道とバスとの輸送能力の違いから来るのかも知れません。
運行本数も輸送人員に対して適正かどうか、これはもう少し時間が経ってみないと分かりません。
まだ手探りの部分も多いのでしょう。
しかしながら、バスならではの機動性を生かしているのも特筆すべき点です。
(例えば「ベイサイドアリーナ」に立ち寄ったりとか)
これは鉄道には出来ない、バスならではの特徴。
沿線住民の高齢化という事も考えると、ドアtoドアでのこうした手法は好例であると言えます。
※応用例として・・・・・・志津川陸前戸倉間の国道上に南三陸温泉のホテルがあるのですけれど、そのホテルの前に“臨時駅”を設ければ観光需要も取り込めるのでは、と思います。
あとは柳津口の区間運転も充実出来れば良いでしょう。区間は柳津〜志津川あるいは歌津間あたりで。歌津にはバスが待機できそうなスペースもありそうですし。

そして最も気になる(?)鉄道線としての再開ですが・・・・・・
現状を見た限りでは正直厳しい、と思います。

地震でグニャグニャになってしまった線路。
線路側に倒れたままになっている側壁。
橋桁のみになってしまった、流されたままの橋梁・・・・・・・

被害は想像を超えたものとなっています。
これらを完全復旧させるには相当額の費用が必要となりますが、費用対効果の事まで考えるとなると、いくらJR東日本と言えども鉄道線としての復旧には二の足を踏まざるを得ないだろう、と思われます。
それらを踏まえて考えると・・・・・・BRTでの仮復旧は極めて現実的なもの、とも言えましょう。
(ちなみにBRTの運賃ですが、鉄道線と同じ体系を採っているのでバスにしては安いです。これが純民間企業運行のバスだったら、この運賃では絶対に運行できなかった)


ちょっと感想が長くなってしまいました。容赦。
その後は前谷地から小牛田を経て仙台へ。
遅い昼食を食べた後にお土産を買いこみ、仙台から乗り継ぎで自宅の最寄り駅へと帰途に就いたのでした。

その3に続く)